インターネットであるかぎり、どんなものであれ怪しい・・・
「インターネットが持つ一般的な怪しさ」というものがあります。
一々例を挙げているときりがありませんが、おそらく70歳以上の方は、
例外なく、そこにクレジットカードの番号を入力して、住所を明かして、
なんであれ買い物をするということ自体に怪しさ、不信、あやうさを感じているはずです。
別に高齢者に限りません。頻繁にネットを利用する世代でも、
多かれ少なかれ、ネットに全幅の信頼を置いているということは、おそらくありません。
慣れとか、体験とか、そういうもので温度差の違いはあるにせよ、
実物主義、現物主義のほうが強いに決まっています。
物販でさえ、そうです。これには、ヤフオクなどで、かつて騙しが行われたという、ネット上の事件の記憶とかが加勢します。
まあ、「通販」なわけですが、
それでさえ、ネットで購入することには、一抹の不安が残る。これ、かなり一般的な心象というか、気持ちだと思います。
いわんや、「形のない、情報をネットから購入する」なんて、
それこそ、なんのこっちゃ?です。うちのおふくろが聞いたら、卒倒します(爆)
そういう、「怪しさ」を前提に、価格と価値の話をするのは、
まったく気が引けることではあります。
しかし、価値は確実に形作られていますし、怪しさをぬぐいきれないものの、ネットにアクセスするという行為のなかで、確かに価値あるものは生まれ、存在もしています。
ところがです。これらはたいてい、タダです。まあ、一般的に「情報」と言われているものは、
おおむねそうです。
特に、ネット上では。これには、インターネットの歴史が実はからんでいて、
アカデミック・アカウント的な心情が働いていること、
当時に
ネットのコンテンツ全体が、
フロントエンドである、つまりその多くが、リアルビジネスへの入り口になっているというのが関わっていますが、ここでは、それはおいときます。
まあ、とにかくそういうわけですので、「
ネットでしか買えない電子出版物」の「価値と価格」についてなんて、そう簡単に片付くような話じゃありません。
先回述べた、「
費用対効果」が一番客観的にこれをクリアできる見方ではあると思いますが、
これやった人もいなければ、測定する手立てもなかなか見当たらない。
それで仕方なく、本屋さんで売られている商業出版物と、ネットからしか買えない電子出版物の比較なんてことを、ついやっちゃうわけですが、これもどうかと思います。
なんとも雑駁、杜撰な比較です。
まず、本一般ではなく、分野を限って比較することが最低限必要です。
その上で、値付けの根拠を洗い出さないといけない。
リアル出版物の価格構成は比較的単純明快です。コスト積み上げ方式で、ちょっと見積もってみれば、実に正直な値段、価格になっていることが、すぐに分かります。
もっとも、リアル出版物でも、「価格と価値」って問題は残ります。
同じ1000円の本を買っても、
叩き捨てる人もいれば、一生座右に置く人もいる。
極論すればそういうことです。一方にとっては1円の価値もない、一方にとっては一生物の価値がある。こういうことは、頻繁に起きているはずです。
しかし、ここには「詐欺」行為は、ゼロです。
詐欺られたという感情も浮かびにくい。
なぜなら、「
期待値」がさほど、はじめから大きくないからです。
あなたにとっての駄本にお金を使った悔しさに「この、詐欺本!」と悪態をつくことはあるかもしれないですが、事実として詐欺行為は存在しません。
米国などでは事情が違う州もありますが、本はまあ立ち読みができるから。せいぜい数千円から1万円程度で買えるから。という理由も成り立ちますが、
じゃあなぜ、その程度の値段で、買えてしまうのか?ということを考えておかないと、「価値と価格」の話はクリアできない。
大根や、お芋と同じように、需要供給の関係で、価格が上下するってことは、もちろん本にもあります。ごく狭い研究者間でしか読まれないような学術書は、そもそも部数も少ないですし、高額になることはよくあります。でもこれ、「価値」とは別次元の話です。
ここまでは、紙とか印刷とか印税とか広告費とか流通とかコストの話で実は済んでしまう話なんです。
じゃあ、紙代、印刷製本代のかからないことが多い「電子出版」は、なぜ高額なのか? 高額であることが多いのか?
いや、「高額に見える、高額に思えるのか」?
この問いに、「情報起業クソ真面目宣言2008」は、
泥臭くも、クソ真面目にリアルに答えています。
納得します。説得力あります。
しかし、だからと言って、この電子出版物が、
あなたにとって価値があるかどうかの答えはまだ出ません。
少なくとも、このエントリを書かせてくれたという点で、
商人には価値があります。
しかし、費用対効果は、まだ未知です。
リアル本のように、読み込んで、それで何かを得られれば良し、と言えるほど、
けして安い買い物ではないから。
ですから、費用対効果を最大化する道が見えない人は、
またぞろ詐欺呼ばわりするかも知れませんし、そこまでいかないとしても、
イマイチな買い物だったと、がっかりしたりするでしょう。
はい、ここで問題です。
なぜ、いわゆる「読書」というものは、これまで、「費用対効果」を
問われることがなかったのか?
電子出版物は、なぜ、それが問われるべきなのか?
いや、まっさきに問われたのか?
実は、この答えに近いことも、「情報起業クソ真面目宣言2008」に書かれているのですが、
長くなりました。
続きは、またいずれ。
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